歯医者に行くたびに大泣き、大暴れ。名前を呼ばれただけで逃げ出す。診察台に乗れない。
うちの息子も、そうでした。
元小児歯科助手として5年間働き、発達が気になる子どもたちの歯科受診に携わってきた私でさえ、自分の息子の歯科受診には苦労しました。この記事では、現場経験と当事者経験の両方から、発達障害・感覚過敏のある子の歯科受診を楽にするための方法をお伝えします。
かほ
発達っ子ままのノート 管理人
発達障害グレーゾーンの息子を育てるママ。元小児歯科助手・Webの仕事をする個人事業主。医療現場での経験と当事者目線で、発達っ子育ての記録を綴っています。
- 小児歯科助手として5年勤務
- 調剤薬局事務経験あり
- 発達障害グレーゾーンの息子を子育て中
- 現在Webの仕事で個人事業主として活動中
なぜ発達障害の子は歯医者が苦手なのか

歯科は感覚過敏の「フルコース」
歯科医院という場所は、感覚過敏のある子どもにとって非常に過酷な環境です。
- 聴覚:ドリルの音・吸引機の音・BGM
- 触覚:口の中に器具が入る感覚・水がかかる感覚
- 嗅覚:消毒液・歯科特有のにおい
- 視覚:診察室の強いライト
- 味覚:フッ素・消毒液の味
これらが同時に押し寄せてくる場所が歯科医院です。定型発達の子でも怖いと感じる場所なので、感覚過敏のある子がパニックになるのは当然のことです。
「見通しが持てない」という恐怖
発達障害の特性のひとつに「先がわからないと不安になる」というものがあります。歯医者では「次に何をされるかわからない」という状況が続くため、これが強い恐怖心につながります。
息子の歯科受診、こんなにも大変だった【実体験】

息子が初めて歯科医院を受診したのは3歳を過ぎた頃で、あの日のことは今でも鮮明に覚えています。
まず診察台のライトが顔に当たると、眩しさに耐えられずパニック。そのあとは椅子には座ることすら拒否。床に寝転がって 全身で暴れ、泣き叫びながら抵抗しました。 なだめようとしても全く聞かず、ついには診療室から 脱走してしまいました。
他の患者さんが治療している機械の音も大きなストレスで、 「こわい!いや!」と耳を塞いで固まってしまうことも。 初めて会うスタッフさんや歯科医師の先生を強く警戒して、 私から離れようとしませんでした。
元小児歯科助手として、発達が気になる子どもたちの 歯科受診を何度もサポートしてきた私が、 まさか自分の息子でここまで苦労するとは思っていませんでした。 「知識があっても、わが子には通用しない」 そのもどかしさは、経験した人にしかわからないと思います。
発達障害の子が歯科受診を楽にする7つの方法

1. 「慣れる」ための通院から始める
いきなり治療をしようとしないことが最重要です。最初は「椅子に座るだけ」「器具を見るだけ」「口を開けるだけ」というスモールステップで慣らしていきます。
2. 受診前に「予告」を繰り返す
「今日は歯医者に行くよ」「まず椅子に座るよ」「水が出るよ」など、次に何が起きるかを言葉や絵カードで事前に伝えることで、見通しが持ちやすくなります。
3. イヤーマフを持参する
音への恐怖が強い場合、イヤーマフを着用したまま受診できる歯科医院が増えています。事前に「イヤーマフを使いたい」と伝えておくとスムーズです。
4. 発達障害への理解がある歯科医院を選ぶ
「発達障害 歯科 ○○市」で検索すると、対応している歯科が見つかりやすいです。障害者歯科・小児専門歯科は特におすすめです。
5. 成功体験を積み重ねる
治療できなくても「椅子に座れた」「口を開けられた」という小さな成功を積み重ねることが重要です。帰りに必ず褒めて、ご褒美シールなどで達成感を持たせましょう。
6. 受診頻度を上げる(短時間でいい)
月1回の長時間受診より、2週に1回の短時間受診の方が慣れやすいです。「短くても頻繁に」がポイントです。
7. 歯科医師・スタッフに特性を伝える
受診前に「音に敏感です」「急に触られるとパニックになります」など、お子さんの特性をメモにまとめて渡すと、スタッフが配慮しやすくなります。
小児歯科助手×当事者経験でわかった、実際に効果があった方法

息子の歯科受診が少しずつ変わり始めたのは、通い方と関わり方を根本から変えてからでした。最初は3か月に1回のペースで通っていましたが2回試してもまったく改善せず、思い切って1か月は週1回、その後2週間に1回のペースに変更しました。歯科助手時代から「慣れるまでは短期間で頻繁に通う」方がうまくいくと知っていたからです。間隔が空きすぎると毎回リセットされてしまいます。
次に取り組んだのが「椅子に座っている間の空き時間をなくす」ことでした。待っている間に不安が膨らんでパニックになるパターンが多かったので、息子の大好きなおもちゃとオイルタイマーを持参するようにしました。オイルタイマーは現場でも使っていた方法で、持ち込み前に歯科医院に確認を取りました。
そして最も効果があったのが、毎回同じ衛生士さんに担当してもらうことでした。息子は名前と顔を覚え、「〇〇さんがいる?」と自分から確認するように。今では検診もクリーニングもできるようになっています。
また、家では歯医者・歯磨きの絵本を読んで「知っている場所」にする練習を。受診当日の朝には「今日は歯ブラシで歯を触るだけだよ」「ライトが当たるよ」など、その日やることを絵に描いて見せてから出発。見通しが持てると、息子は明らかに落ち着いていられる時間が長くなりました。
家での歯磨きをどうするか

- 歯ブラシの種類を変える(やわらかめ・シリコン製など)
- 歯磨き粉はフッ素ジェルタイプに(泡立ちが少ない)
- 好きなキャラクターの歯ブラシを自分で選ばせる
- 「10秒だけ」など短い目標を設定する
歯医者だけでなく、毎日の歯磨きも発達障害の子にとって難関です。
まとめ
発達障害のある子の歯科受診は、親にとっても子にとっても大きな壁です。でも、適切な方法と良い歯科医師との出会いがあれば、乗り越えられる可能性はぐんと上がります。お子さんの歯科受診に悩んでいる方はぜひ試してみてください。
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